今年も、選抜高校野球の開幕(3月18日)が近づいてきました。
ということで、今回は、選抜高校野球に出場する神村学園の戦力について書いてみます。
まずは、この時期、スポーツ新聞6紙(スポーツ報知、サンケイスポーツ、スポーツニッポン、日刊スポーツ、デイリースポーツ、東京中日スポーツ)で発表されるABCの3段階評価を確認します。
スポーツ新聞6紙はB評価、『日刊ゲンダイDIGITAL』はまさかの優勝候補
神村学園は、6紙全紙でB評価でした。
さらに細かく見ていくと、A寄りのBでもなければ、C寄りのBでもなく、センバツ出場32校中、ほぼ真ん中の16番目ぐらいの戦力、といった感じです。
昨年秋の時点では、夏の黒木投手のような絶対的なリリーフ投手がいなかったことから、個人的には、妥当な評価かなとも感じました。
念のため、ほかにも当たってみたところ、YouTubeの高校野球チャンネルまで含めて、おおむね同様の評価でした。
ところが、そのなかで、『日刊ゲンダイDIGITAL 』が、違う評価を下していました。
日刊ゲンダイも、公正中立を旨とする大手マスコミの一つです。
偏狭な逆張りや私情丸出しの願望だけで記事を書くはずがありません。(と信じています)
なので、いちおう内容をお知らせしておきますね。
記事では、スポーツライターの美山和也氏、高校野球雑誌『ホームラン』の元編集長・戸田道男氏、日刊ゲンダイ編集部が、それぞれ、優勝候補の本命として作新学院、大阪桐蔭、健大高崎の3校をあげたあと、対抗として戸田氏が神村学園、美山氏が青森山田を挙げています。
戸田氏の神村評は「昨夏の甲子園4強と旋風を起こしたメンバー10人が残る。昨秋の九州大会は4強で敗退したが、甲子園での経験値はどこよりも高い」となっています。
ここまでで5校ですから、これは充分に優勝候補に相当する評価と言えます。
優勝候補に名前を挙げるかどうかはともかく、戸田氏の神村評のコメントには、私も同感です。
その点をもう少し詳しく見ていきましょう。
昨年夏ベスト4立役者の2年生カルテットが、今年も健在
打順 名前 | 1回戦 立命館宇治 | 2回戦 市立和歌山 | 3回戦 北海高校 | 準々決勝 岡山山陽 | 準決勝 仙台育英 | 通算(打率) |
---|---|---|---|---|---|---|
4番 正 林 | 5-4 | 4-2 | 5-1 | 5-1 | 4-2 | 23-10(.435) |
5番 岩 下 | 4-0 | 1-0 | 3-2 | 4-2 | 3-0 | 15-4(.267) |
6番 上川床 | 5-2 | 4-2 | 4-4 | 2-1 | 3-0 | 18-9(.500) |
↑の表は、昨年夏の甲子園大会における4番、5番、6番の打撃成績(打数 – 安打数)です。
いずれも2年生の左バッターでした。
正林選手も上川床選手も、ホームランを除く打撃部門では、トップレベルの成績だったはずです。
岩下選手の数字はやや物足りない感じもしますが、彼の場合は、とにかくいい場面で大きな働きをします。
3回戦の北海高校戦は、1回2アウト1、3塁の場面で、先制打を放ち、1回の大量4点に繋げました。
最終的には10-4のスコアでしたが、もしこの打席で岩下選手が討ち取られていたら、相手は大会屈指の岡田投手(北海高校→日本製鉄室蘭シャークス)だっただけに、まったく違う展開になっていたかもしれません。
また、準々決勝の岡山山陽戦でも、8回に2点目のタイムリーヒットを打って2-0とし、それまでどう転ぶか分からなかった試合の流れを、決定的に神村学園に引き寄せました。(結果は6-0)
彼には、そもそも、昨年夏の甲子園出場を決めた、鹿児島県予選決勝でのサヨナラホームランもありましたしね、もともと勝負運を持ってる選手なのかもしれません。
↑の表には挙げませんでしたが、昨年夏の神村学園には、2年生レギュラーがもう1人いました。
2番の増田選手で、やはり左バッターです。
チームの大勝の影に隠れ、触れられる機会が少なかったのですが、実は準々決勝までノーヒットでした。
他方で、やはり大勝が続いたせいで見過ごされがちですが、実はセカンドの好守備で、再三のピンチを救っています。
それにしても、監督にまったく選手交代をさせる様子が見られないので、変だなとは思ってたんですが、どうやら練習ではそこまで調子は悪くなかったそうなんです。
そしたら、準決勝の仙台育英戦で、あの高橋煌稀投手(仙台育英→早大)から3打数3安打しました。
小田監督、さすがです。
将来、高橋投手が大物になったら、増田選手は高橋煌稀との対戦打率10割のバッターとして、生涯、自慢できますね。
ちなみに、増田選手の3安打を含めて、神村打線は高橋投手からは、5イニングで6安打とけっこう打ってました。
各選手のスイングも次第にタイミングが合ってきていて、もし6回以降も続投していたら、おそらく打ち崩していたと思います。
それぐらい昨年夏の神村打線には、力も勢いもありました。
ところが、6回から替わった湯田統真投手(仙台育英→明大)が、150キロのストレートは完全に見せ球にして、低めの変化球勝負の投球に徹したところ、途端に空振りが増え、バットに当てるのがやっとという状態になってしまいました。
終わってみれば、湯田投手に対しては、4イニングで、正林選手の1安打だけでした。
昨年夏、神村打線が打てなかった投手は、突如として変化球投手に変貌した湯田投手ぐらいのものだったのです。
以上で、戸田氏の神村評「昨夏の甲子園4強と旋風を起こしたメンバー10人が残る。昨秋の九州大会は4強で敗退したが、甲子園での経験値はどこよりも高い」の意味がお分かりいただけると思います。
↓の成績表を見ればわかりますが、守備も相変わらず鍛えられていると思われます。
さらに、ショートの守備は昨年夏の松尾選手以上、打撃は正林選手以上の逸材と言われている1年生の今岡選手も、控えからレギュラーに加わります。
問題は投手力ですが、その件はまた追記します。
2024年センバツ出場チーム 昨秋の成績 7勝1敗
データ種目 | 1試合平均 |
---|---|
防御率 | 2.33(27位) |
失点 | 2.50(19位) |
失策 | 0.63(7位) |
打率 | .380(5位) |
得点 | 9.00(4位) |
本塁打 | 0.38(11位) |
盗塁 | 1.38(20位) |